人気ブログランキング | 話題のタグを見る

離婚後 親子の面会仲介

離婚後 親子の面会仲介
父にも母にも肩入れせず

 離婚後の争いが激しく、自力では面会できない親子を援助する民間団体が注目されている。父母のどちらにも肩入れしない、子どもの視点に立った取り組みで、支援の広がりを求める声が出ている。(野口博文、写真も)

譲らぬ元妻
 5月の休日、家族連れでにぎわう東京都内の公園。人込みに目をこらしていた40歳代の男性会社員は、一人息子の姿を見つけると名前を呼んだ。そして、駆けよる息子を肩車。芝生の上で野球を楽しんだ。

 数年前に離婚した。息子の親権者は元妻で、定期的な面会が条件だった。以来、男性は元妻と口を利いていない。連絡を取り、子どもを面会場所まで連れてくるのは援助団体のスタッフだ。「引き渡しの時に顔を合わせたくない」と元妻が譲らなかったためだ。「仲介がなければ会えないのは不本意ですが、会うためには受け入れるしかない」と男性は漏らす。

 こうした支援は、社団法人「家庭問題情報センター」が先駆けとなった。東京相談室での面会実績(新規)は2004年10月の本格開始以来、年に約10組ずつ増え、08年度は約100組に上った。現在約200組を援助する。元家庭裁判所調査官などのスタッフが、面会場所や時間などを親権者に提案し、屋内や公園、遊園地などに付きそう。

 離婚後、子どもの親権者は8割が母親だ。同センター常務理事の山口恵美子さん(臨床心理士)は、心の支えとして、子どもとの絆を求めて面会を希望する父親が増えていると説明する。

気持ちに変化も
 一方で、子どもをめぐる、離婚した両親の心理は微妙だ。子育てに苦労している母親が、父親との面会を「いいとこ取り」と感じて嫉妬することもあるという。そんな時、山口さんは「子どもが思春期に父親に相談したいことがあっても、仲がよくないと相談に行けないでしょう」と語りかける。「援助者は、父母のどちらの味方でもない。あくまで子どものための支援」と山口さんは強調する。

 06年から面会仲介を行っているNPO「Vi―Project」代表の桑田道子さん(31)によると、面会を重ねるうちに、会わせたくない親の気持ちが変化するケースもあるという。

 長男(5)を父親に会わせている母親は当初、心配のあまり、長男をスタッフに引き渡す駅で、面会が終わるのを待っていた。だが、1年もすると、「美容院に行けるわ」と、心に余裕が出てきた。洋式便所で立ち小便ができない息子に、母親は「パパに教えてもらいなさいね」と言ったという。

 母子家庭の自助グループを支援している小田切紀子・東京国際大教授(臨床心理学)は「一緒に暮らしていなくても、父親が養育にかかわってくれるのだと思ってみては。離婚後も子育ては協力し、一人で背負わないことが大切」とアドバイスする。

 ただ、支援団体は限られている。棚村政行・早大教授(家族法)は「面会が当たり前の米国では各地に支援センターがある。日本でも、面会を促進し、合意した面会が実現するようにサポートする組織や専門家など、社会的な支援体制の整備が必要だ」と指摘する。


面会交流を援助する団体

◆家庭問題情報センター(電)03・3971・3741

◆日本家族再生センター(電)075・583・6809

◆NPO法人「FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」(Vi‐Project)(電)06・6354・8156

◆NPO「びじっと・離婚と子ども問題支援センター」 担当者(電)090・9806・1729

◆札幌おやこ面会交流の会(電)011・261・3990=火・金曜日の午後1~4時

 (2009年6月16日 読売新聞)   **************************************************************

  by mousavian | 2009-06-17 14:41 | 報道記事

<< 親子の絆四国ガーディアン 第一... 離婚後も子に会いたい >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE