韓国の離婚相談制度
12月10日「離婚と子どもの最善の利益」-韓国の離婚相談制度ー
セミナー概要報告
※レジュメがないうえに、話のペースが速く、かつ韓国の方の日本語のため、一部に不明確な部分があることをご了承ください。
○講師 宋 賢鐘氏
ソウル家庭法院(日本の家庭裁判所と同様の権能。)調査官(日本での主席調査官レベル。)
家事少年制度改革委員会専門委員
2008年9月より日本の家庭裁判所で調査官研修。
○韓国の離婚制度
・韓国の離婚率は米、英についで世界第3位。非常に高い。
・1971年以前は、男性中心の離婚制度だった。
・最近、戸籍制度を廃止した。
・協議離婚と裁判所離婚(調停離婚・訴訟離婚)があるが、日本と異なり、協議離婚にも裁判所が関与。
・2008年6月、現在の離婚制度を施行。
その背景として、従前の男女差別の廃止(戸主制度廃止)、離婚についての社会認識の変化と離婚急増、離婚による子どもへの影響についての考慮の必要、離婚後母子家庭の貧困及び子の養育の困難など。
・協議離婚手順と離婚相談制度(2008年6月22日~)
離婚申立→離婚ガイダンス→熟慮期間(未成年の子が有る場合 3ヶ月、無い場合 1ヶ月)→専門家相談→離婚協議書作成・提出→裁判所で離婚意志の確認
・専門家による離婚相談
離婚について相談・子どもの福祉や教育についての相談・調停(調整)機能
○今回のセミナーは、現在の韓国の離婚制度の解説が主であり、我々の知りたい面接交渉や親権についてはあまり言及されなかったのは残念だった。最低限の事項について講師に直接質問した。
①面接交渉の現状はどうか。
定期的に面接交渉有り 9.8%、
連絡や交流等が全くない 47.8% (2006年)
②面接交渉実施のための強制力はあるか。
・離婚協議書に面接交渉の実施の記載が必須。
・面接を拒否する看護親に裁判所が命令を出す。拒否看護親が勾留されたケースがある。(しかし、講師は日本でも面接拒否に対して「強制的命令」を出せると勘違いしているので、この部分は事実確認必要。)
③そうすると、もっと(2006年の数字より)面接交渉の状況が改善するのではないか。
・必ずしもそうではない。社会的雰囲気がそうなっていない。(この部分は事実確認必要。)
④韓国では離婚後の親権は、共同親権か。
・法的には共同親権とも解釈できるが、米国のような共同親権ではない。最高裁の判例もない。(2度質問したが、同じ回答であった。各種のホームページ・ブログを調べたが韓国が単独親権としているもの、共同親権としているものの両方があった。ごく最近の共同親権化か?この部分は事実確認必要。)
・韓国では、離婚後、9割は、子は母と生活。
④日本では親権争いが激烈だが、韓国ではどうか。
・韓国も非常に激しい。(ということは韓国は単独親権か?あるいは、共同親権化がごく最近で、講師はそのことを知らないのか?)
⑤非看護親との面接交渉と「子どもの最善の利益」についてどう考えているか。
・韓国では、非看護親との面接交渉と「子どもの最善の利益」との関係を、欧米のようには考えていない。
・しかし、子どもの福祉のために、協議離婚にも国の関与が必要と考えている。
※日本の離婚制度を類似の点が多いが、熟慮期間制度及び今回のテーマである相談制度は特徴的。
韓国は、高い離婚率を背景にしてか、日本に比べて離婚制度改革に、より熱心に取り組んでいる印象を持った。
セミナー概要報告
※レジュメがないうえに、話のペースが速く、かつ韓国の方の日本語のため、一部に不明確な部分があることをご了承ください。
○講師 宋 賢鐘氏
ソウル家庭法院(日本の家庭裁判所と同様の権能。)調査官(日本での主席調査官レベル。)
家事少年制度改革委員会専門委員
2008年9月より日本の家庭裁判所で調査官研修。
○韓国の離婚制度
・韓国の離婚率は米、英についで世界第3位。非常に高い。
・1971年以前は、男性中心の離婚制度だった。
・最近、戸籍制度を廃止した。
・協議離婚と裁判所離婚(調停離婚・訴訟離婚)があるが、日本と異なり、協議離婚にも裁判所が関与。
・2008年6月、現在の離婚制度を施行。
その背景として、従前の男女差別の廃止(戸主制度廃止)、離婚についての社会認識の変化と離婚急増、離婚による子どもへの影響についての考慮の必要、離婚後母子家庭の貧困及び子の養育の困難など。
・協議離婚手順と離婚相談制度(2008年6月22日~)
離婚申立→離婚ガイダンス→熟慮期間(未成年の子が有る場合 3ヶ月、無い場合 1ヶ月)→専門家相談→離婚協議書作成・提出→裁判所で離婚意志の確認
・専門家による離婚相談
離婚について相談・子どもの福祉や教育についての相談・調停(調整)機能
○今回のセミナーは、現在の韓国の離婚制度の解説が主であり、我々の知りたい面接交渉や親権についてはあまり言及されなかったのは残念だった。最低限の事項について講師に直接質問した。
①面接交渉の現状はどうか。
定期的に面接交渉有り 9.8%、
連絡や交流等が全くない 47.8% (2006年)
②面接交渉実施のための強制力はあるか。
・離婚協議書に面接交渉の実施の記載が必須。
・面接を拒否する看護親に裁判所が命令を出す。拒否看護親が勾留されたケースがある。(しかし、講師は日本でも面接拒否に対して「強制的命令」を出せると勘違いしているので、この部分は事実確認必要。)
③そうすると、もっと(2006年の数字より)面接交渉の状況が改善するのではないか。
・必ずしもそうではない。社会的雰囲気がそうなっていない。(この部分は事実確認必要。)
④韓国では離婚後の親権は、共同親権か。
・法的には共同親権とも解釈できるが、米国のような共同親権ではない。最高裁の判例もない。(2度質問したが、同じ回答であった。各種のホームページ・ブログを調べたが韓国が単独親権としているもの、共同親権としているものの両方があった。ごく最近の共同親権化か?この部分は事実確認必要。)
・韓国では、離婚後、9割は、子は母と生活。
④日本では親権争いが激烈だが、韓国ではどうか。
・韓国も非常に激しい。(ということは韓国は単独親権か?あるいは、共同親権化がごく最近で、講師はそのことを知らないのか?)
⑤非看護親との面接交渉と「子どもの最善の利益」についてどう考えているか。
・韓国では、非看護親との面接交渉と「子どもの最善の利益」との関係を、欧米のようには考えていない。
・しかし、子どもの福祉のために、協議離婚にも国の関与が必要と考えている。
※日本の離婚制度を類似の点が多いが、熟慮期間制度及び今回のテーマである相談制度は特徴的。
韓国は、高い離婚率を背景にしてか、日本に比べて離婚制度改革に、より熱心に取り組んでいる印象を持った。
by mousavian | 2008-12-12 17:24 | 離婚と子ども